紫色を基調とした背景に「皆が『N』のために」と書かれたタイトル画像。『Nのために』ドラマ鑑賞会の記事タイトル。

OBSERVATION 作品考察

皆が『N』のために嘘をつく|それぞれの正義が織りなすミステリー



休日、たにくんと一緒に『Nのために』を鑑賞した”ねぐち”。


タイトルにある通り、登場人物それぞれが「守りたいN」のために貫く正義が引き起こす事件を紐解くミステリーでした。


このドラマを観て、人間心理が巻き起こすミステリーが最も難解なんだと感じました。


ねぐちの作品考察、スタートです。

タイトルに込められた意味

【作品概要】Nのために

▼作品紹介、主要キャストを見る▼
テレビの線画イラスト
  • 作品名:Nのために
  • 原作:湊かなえ『Nのために』(2010年刊行)
  • ドラマ放送:2014年10月17日〜2014年12月19日
  • 放送局:TBSテレビ
  • 放送枠:金曜ドラマ(毎週金曜22:00)
  • 話数:全10話
  • ジャンル:ヒューマンミステリー
  • キャスト:榮倉奈々、窪田正孝、賀来賢人、小出恵介、徳井義実、小西真奈美、三浦友和...





それぞれの『N』のために

赤い紙の上に白い縁取りの大文字「N」が描かれたポップなデザイン。

『N』とは何か。


それは、作中に登場する人物名や
場所にまつわるイニシャルです。


この作品では、
たくさんのNが登場します。


そして、それぞれに
守りたい「N」がある。





作中に登場する『N』たち

  • 野口
  • なおこ
  • のぞみ
  • 成瀬
  • のばら荘...


『Nのために』を基点とした、
事件が展開されていきます。




守りたい『N』がいる

このドラマで特徴的なのは、
誰もが、誰かのために動いてること。

どうか、その『N』が傷つかないように。
その『N』の立場が悪くならないように。



そんな風に、密かに守ろうとする。


放火事件や殺人事件が起きてるのに、
極悪人は一人も出てきません。








嘘をつくのは、Nのため

薄紫色の紙に黒い大文字「N」が描かれ、紙の角が少しめくれたデザイン。

人によって違う「ついちゃう嘘」

この作品では、Nを守るための嘘がたくさんあります。


誰か一人がついた、
ひとつの嘘とかじゃない。


皆が、それぞれ嘘をつく。
何度も嘘をつくことだってある。





やましくない「嘘」

一見、嘘をつくというと
やましいことを隠すためかと思いがち。


けど、それは相手を庇ってるからの嘘ばかりです。


利用したい、
悪意があって、
そんなことはないんです。


人がつく嘘には、
優しい嘘もたくさんある。


そんなことを改めて、教えてくれる作品でした。







誰も悪人じゃないのに、誰も正しくない

赤い紙の上に黄色の小文字「n」がデザインされたイラスト。

抱える傷も、守りたいものも人それぞれ

この作品で印象的だったのは、


誰も悪人じゃないのに、
みな完璧じゃない、
弱さも抱えていること。

守りたいものがあるのも本当。
過去の傷が癒えないのも本当。



それぞれの人生を生きる中で、
形成された正義は、
驚くほど、皆違うと分かります。







人間の弱さが垣間見えるとき

自分のことも守るけど、
Nのことも守りたい。


いや、
自分の立場が悪くなってもいいから、
Nを守りたい。


そんな時に、
人は少しだけ愚かになる瞬間がある。


そうも感じました。





正義があるのに違うから、すれ違う

今回の作品では、殺人や放火などの大きな事件へと発展しますが、それは「それぞれの正義(価値観、大事にしたいもの)が交錯したことにより起きたもの。



生い立ちも違えば、
能力にも差がある。


性別の違いもあるし、
今置かれている環境も違う。


抱えてきた傷や葛藤は、
人格や価値観を形成することに
大きな影響を与える。


やはり、一人として同じ人はいません。


偶然が重なったことにより起きた悲劇のように描かれていましたが、それは少し違うように見えてきました。


それぞれの正義がすれ違うことで起きた事件です。








どこか生々しい、フィクション

この作品を見ていると、
なんだか心が重くなったんです。


ちょっとしんどい。
そんな気分に。


なんだか妙にリアルだから。



事件はフィクション

この作品で起きる事件が、
実際に起きるか?と聞かれると、


そんな偶然が重なることはない。
そう断言できると思います。


だから、この作品にはフィクション要素が強い部分もあります。




登場人物はノンフィクション?

しかし、登場人物を一人一人を見ると、
「こういう人いるよね」と、


どこかで見たことあるような
妙なリアルさがある。


だから生々しくて、
ときどき辛くなる。




実はこのドラマを鑑賞するのは2回目です。
リアルタイムで観ていたのは10代の頃。



そのころは、多くの人と触れ合った経験が少なかったので、そこまで重さやしんどさを感じませんでした。


しかし、30歳になった今、
改めて観てみると「うわぁ」
と何とも言えない重たい共感が生まれる。


登場人物は、
ノンフィクションに感じます。






日常にも潜む、小さな「Nのために」

淡い緑色の質感で描かれた大文字「N」のデザインイラスト。

また、この作品のような大きな事件に繋がることはなくても、日常生活の中にも「似たようなこと」は起こっていると感じます。

  • 家庭
  • 恋愛
  • 職場
  • 友人


誰かを庇うための嘘や、
それぞれの正義の衝突は
毎日のように起きています。

『N』は、登場人物のイニシャルを指してるというより、それぞれの正義・価値観・愛を示してるのかもな〜






人はそれぞれ正義がある、ということ

SEKAI NO OWARIと似ている

ふと、SEKAI NO OWARIの「Dragon Night」という曲に、今回の作品とリンクする歌詞があることを思い出しました。

人はそれぞれ正義があって
争い合うのは仕方ないのかもしれない

sekai no owari 「dragon night」より


この歌にあるように、
人にはそれぞれの正義があり、


正義の衝突により
揉めてしまうのは仕方ない。


だって、抱えてる傷や生い立ち、
今の葛藤や、本人にできること、


あらゆるものが、皆ちがうから。


でも、実際の生活で体現するのは難しいんですよね。





意外と自覚してない「多様性」

このように人は皆違うと、
ドラマや曲で描かれていても


本当に「人それぞれ違う」ということを分かっていない人は多かったりします。


だから、人は揉めるんです。


そんな社会のリアルが見えてくると、
少し虚しくもなってきます。

多様性が大事だと叫びながら、
本当に「それぞれのN」について、
考えている人はどれほどいるのだろう。






湊かなえ先生の作品の魅力

黄色い紙の上に紫色の大文字「N」が配置されたデザインイラスト。

『N』のためには、
ミステリーとしても
もちろん面白いです。


しかし、湊かなえ先生の作品は、人間心理の複雑さを取り扱っていることが多い。



単なる悪意でも、
単なる殺人衝動でもない。


人はこうして、罪を犯すことがある。
そんな人間らしさを描いています。


だから、どうなるのか
展開を読めずに目が離せない。


そんな湊かなえ先生の作品が大好きな”ねぐち”。



たにと食い入るように、
ハマった休日が
楽しかった”ねぐち”でした。

  • この記事を書いた人

ねぐち

ついつい人の悩みや選択の背景にある「構造」を考えてしまう鳥です。 感情と論理、どちらも踏まえた上で、納得できる理解を大切にしています。 「理解すること」が人生を楽にしていく流れを、ここで記録中。

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