「年下ポジションが評価を歪める構造」というテキストタイトルが書かれたアイキャッチ画像。グレーの背景に、鎖状の線画が書かれていてる。

社会構造を考える

「年下ポジション」が評価を歪める構造|なぜ”幼さ”は武器になり限界にもなるのか。

皆さん、こんにちは!バードセキュリティのねぐちです。

コミュニティ内での年下ポジションとは居心地のいいものです。20代前半の頃は、失敗しても許され、ズレた発言をしても「若いからね」と流してもらえました。

期待されすぎないことは、思っている以上に楽だったようで、責任を負わなくていい、未完成でそこにいていいと言ってくれているようなもの。

そんな優しい環境設定だから、気づかぬうちにそこに長く留まりたいと思ってしまうようです。

ただ、実際には”社会の役割下で守られているだけ”ということには気づきません...


それでは、スタート!





導入|なぜ年下ポジションは心地いいのか?

左側にグレーの4本の波線と、右側には、オレンジの放射線状に広がる線画

コミュニティ内の新人は、年下ポジションに位置付けされます。

「新しい子が入ってきたんだね」と歓迎され、期待しつつも、失敗してももしょうがないよねと許してもらえる、そんな温かい眼差しが向けられます。

その場の空気は緩み、張り詰める感じなどありません。





責任を持たなくてもいい関係

年下ポジションの人は、自分が責任を持たなくてもいい状態で人間関係を築くことができます。周りからの期待値も低い状態でも、結果など出していなくても、関係性が崩れることはありません。

そもそも、何もできない前提として扱われるのが年下ポジションの特徴です。



【特徴】年下ポジションとは何か?

要約:その役割が周囲の評価として、変換されている状態

単純に「最年少」であることではない

そもそも年下ポジションとは、単なる「年下」のことではありません。職場・学校・友人間などで発生する人間関係内での「役割」のことを指しています。

自ずと、実年齢が下の人がその役割を担うことになりやすいですが、必ずしも最年少が"年下ポジション"になるわけではありません。



関係性の中で作られる役割のこと

その人間関係の中で「可愛がられる・守られる役割を担う立場」の人のことを指しています。そのため、同一人物でも別のコミュニティに行くと別の役割になることだって当然あるわけです。

【仮】ねぐちの場合...

  • 友人間:お調子者、ムードメーカー
  • バイト先:年下ポジション

友達との間だと、お調子者ポジションが多いかな〜
けど、バイト先にはパート主婦の方ばかりだから、可愛がってもらえる♪

同じねぐちだが、どのコミュニティに属すかによって役割・立ち位置が変わるんだな


人間関係の構成メンバーも重要

その人間関係が、どんな人たちで構成されているかも重要なポイントです。

ただ、10代〜20代前半など"どこに行っても年下ポジションになりやすい時期"は存在します。

学校、バイト先、職場、家庭など...どこでも周囲からの期待値が大きくなることはほぼありません。




周囲が勝手に補正をかける

可愛がられるという良い面がある一方で、本人が自覚しづらい問題点も隠れています。

周囲が勝手に補正をかけることで、未完成さを自身の可能性として受け取ってしまうことです。

「まだこれから」という幻想

年下ポジションは位置自体が「将来性」を評価されやすいのが特徴。そのことを「自分ができる」と錯覚してしまうケースは少なくありません。








【問題】評価が歪む瞬間に起きていること

実際に若さがあり、期待値が高いことは事実です。

しかし、それがその人自身の評価を指しているわけではないのです。あくまでも可能性があるという点を、鼓舞してくれてるだけ。

それは本人自身のスキルでもなんでもないのが注意したい点です。

その人間関係内だからこそ、生まれる評価




なぜ本人は気づけないのか

どうして本人たちは”補正がかかっていること”を自覚しづらいの?

  • 年下ポジションで得られる肯定的な反応(期待される、応援されるなど)
  • 周囲の評価を、言葉のまま自己評価に置く
  • 身を置いている環境での評価が自己評価に依存しやすい
  • 自分の中に基準を置いている子が少ない

周りの人も、肯定的な言動は「年下補正があるからだよ」など前置きする人はいません。

言葉での評価が嬉しい人ほど、歪んだ自己像が固定されやすいように思います。

「自分は本当にそんな評価されるに値するか?」と自問自答するタイプでない限りは、修正する機会を失っていきます。

言う側にメリットがないため、詳細を教えてくれない。
関係を悪くしたくないし、雰囲気の良さを保ちたい人がほとんど。

内省する機会がないといけないんだね...





年下ポジションの限界点

そんな年下ポジションは、年齢が上がった時に限界を迎えます。

そのポジションには、新たな若者が”年下ポジション”として配置されます。

そして、かつての年下ポジションは”責任を求められる立場”となり対等に仕事や人間関係を営んでいくことが求められるのです。

  • 年齢が上がった時
  • 責任を求められる立場になる時
  • 対等な関係が必要になった時

年下ポジションが終わると、突如、対等な人間関係を築ける力を求められるようになります。

『若さ』というボーナス期間の終わり|では、次の武器は何か?





「評価される人」から「使われる人」へ

年下ポジションの限界を迎えても、本人が変わらないとどうなる?

位置変化が起きる
期待される存在から「扱いやすさが残る=使われる人」へシフト

年下ポジションの特性だけが残ることで、他人からの扱いやすさだけが残ることになるので”便利な人”という見られ方をすることもあります。

「それでいい」と本人が思っていたとしても、周りはそうは言ってくれません。

周囲の心境の変化

  1. 【新人】あの子に期待してるんだよね
  2. 【20代後半】あの子大丈夫かな?
  3. 【30代以降】あの子じゃ任せられないね...

このように求められる期待の種類が変わるのに、応じることができないと「期待される人」から「使われる人」へと移行していきます。






【発展】対等な関係に移行するために必要なこと

役割から降りる勇気

そんな展開にならないために、必要なのは「役割から降りる勇気」を持つこと。

年下ポジションの良い点も悪い点も挙げていきましたが、長期的な視点で見ると「年下ポジションを降りる」ことが最も安全で賢明な判断だと思います。

これからは、自分が下に位置することで成り立つ関係ではなく、対等な関係を築くことで成立する人間関係へシフトしていきます。

年齢ごとに、社会から求められる役割は変化していくように感じます。これは、年齢差別などではなく、小学生が小学校に通い義務教育を受けるのと同じ。その年代ごとの社会に果たす役割があると考えているだけ。

対等な関係の先には、新たな年下ポジションを育成する立場へと移行...
ずっと何かしらの立ち位置の変化が続くようです。






新たな位置で得られるもの

対等な人間関係を築くフェーズでは、年下ポジションよりも自由度は高いですが、その分の責任も生まれます。

実力を評価されるシビアな面が出てきます。無条件に可愛がられることはなくなり、尊敬される・疎まれる...など評価は一気にバラけます。

新たな位置でも、年下ポジションと同様に「いいこと・悪いこと」どちらもあるようです。

  • 役割から降りる勇気
  • 嫌われるリスクも引き受ける
  • 未熟でも主体として立つ






年下ポジション自体は、悪ではない

今回は、年下ポジションが自己評価を歪める構造について話しました。しかし、そのポジション自体が悪いわけではありません

誰もが通る時期というだけ。子供の頃〜20代前半までの期間、どの人も通る道なんです。

  1. 一次的に救われることもある
  2. でも、居続けることはできない
  3. 自分の価値を「そのポジション」に預けすぎないこと




そのポジションが悪いわけでも、
そのポジションに居続けられるわけでもない。
ただ、構造の位置の話です。



だから、そのポジションに由来して自分の価値を置きすぎないことを気をつけたいです。

年下でいられる時間が終わった時、何が残っているかが本当の評価になりそう。



それでは本日は以上です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!

  • この記事を書いた人

neguchi Kotaro

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