第三話「はじめに」
明日香と七海の働く会社では、
新たな試みが始まります。
突然、配られる
「大人の通知表」
いったい誰が、
何の目的で...
そんな疑問が、
皆の頭に浮かぶのでした。
突然、配布された「通知表」

ある朝、会社から"全社員”へ、
「大人の通知表」が配布されました。
本日より、社員一人ひとりに「大人の通知表」を配布することが決定しました。
誰が評価しているのかは、
よく分からない。
上司でもない。
同僚でもない。
自分以外の誰かが、
自分を評価してる。
会社のどこかにいる「評価担当者」は、日頃の行動をチェックしているんだとか。
その採点結果が、
通知表にて届くようです。
大人の通知表の項目
- 相手の話を素直に聞く力
- 誠実に継続する力
- 自分の意見を伝える力
- 相手の立場を尊重する力
- 失敗から修正する力...
これ以外にも、
まだまだ項目はある。
明日香のもとにも、
七海のもとにも届いた。
もちろん、
上司にも届く。
年齢や役職は関係ありません。
その会社に属してる者なら、
「全員」に配られます。
明日香の通知表

さっそく、
通知表をチェックしてみた明日香。
- 人と協力する力:A
- 場を明るくする力:A
- 自分の意見を伝える力:B
思っていた以上に、
良い結果が並んでいる。
ホッと、ひと安心した。
その矢先、
『失敗から修正する力:D』
そんな内容が目に飛び込んできた。
明日香は、目が離せなくなる。
「えっ...D.....?」
私だけが悪いわけじゃないよね?
想像していたより、悪い結果だった。
この採点結果に対して、
色々と思うことがある。
「ちゃんと教えてもらってないけど」
「仕事量も多いんだから、全部修正できるわけないじゃん」
「〇〇さんだって、ミスしてるじゃん」
「ちゃんと〇〇さんも評価はDなのかな!?」
「てか、誰がこの評価つけてるの?」
そう言われれば、
少し前に仕事でミスをした。
その時のことかな?
よそはよそ、うちはうち
しかし、明日香は納得いかない。
その仕事を振ってきた同僚の通知表には「業務内容を正しく指導する力:C」とつけられていた。
「なんで私だけ...」
事実を拾う
明日香が感じていたように、
その同僚は
「教えるのがあまり上手ではない」
これは、一つの”事実”。
また、最近忙しかったこの部署。
繁忙期ということもあり、
仕事量が多かった。
これもまた、事実。
だが、
通知表結果は変わらない。
明日香の
「失敗から修正する力」は、
『D』だ。
これも、事実。
七海の通知表

七海のもとにも、通知表が届いた。
ほとんどの項目がB。
ちらほらとAもある。
「おっ、よかった。」
しかし、目を背けたくなるような項目を見つけてしまう。
「自分の意見を伝える力:D」
七海の気持ち
「うわ、まじか...」
「けっこう言えてると思うんだけど」
「あの時のことかな?」
「いや、でもあの時は言わないほうが」
「...まあ、確かに言わずに済ませちゃうことが多いな」
「よし、次の会議の時は、1回は自分の意見を言うようにしよう」
通知表のDという採点結果にショックを受けながらも、改善してみようと意気込んだ七海。
自分の問題として引き受け、
修正を試みるようだ。
40代上司の通知表

先日、明日香に”仕事ミスを確認するよう”に指摘していた上司。
彼のもとにも、通知表が届きます。
さすがは、ふたりの上司。
Aと記された項目が多いなか、
『部下へ意図を伝える力:C』
上司は、それを見て、
「Cかぁー...」
と神妙な面持ちになる。
「いやぁ、具体的に伝えてるつもりだけどな」
そう、愚痴をこぼしかけ、
上司は止まる。
「いや、まあそうだよな」
「俺の伝え方にも足りない部分はあったな」
と、自分の不足点を考え始めた。
重要となる「問題の線引き」
3人の様子を見ていると、
重要なことが見えてきます。
「すべて自分が悪い」と
感じることが大事なのではない。
自分の範囲の問題を引き受けること。
これが、人が成長するために
欠かせない要素かもしれないと。
そんな姿勢がある人は、
「C→B」へ、
「C→A」へと
評点が上がっていく人なのかも。
"自責"とは「自分を責める」ことではない

言葉から連想できる意味
ここで、第三話で最も伝えたい部分を解説していきます。
自責=自分を責めること
他責=他人を責めること
そう言われると、
「すべて自分が悪い」
「自分なんてダメなんだ」
という意味?と誤解されることがあります。
ただ、僕が思う自責は違います。
誰が悪い?ではなく、誰が扱う?

僕は、
- 自責=自分の結果に、自分で責任問題として扱うこと
- 他責=自分の結果を、他人の責任問題として扱うこと
自責や他責は、
善悪ではなく「問題の所有権」と考えています。
登場人物たちの「自責と他責」
明日香の場合

明日香の通知表、Dがつけられていた「失敗から修正する力」
明日香の感じてるように、
上司の説明方法にも問題はあったでしょう。
それでも、
「次に自分が同じミスをしないためには?」
何ができる?
この部分は、明日香の問題です。
彼女が引き受けるべき「自身の課題」です。
上司の場合
部下である明日香のミス。
このすべてを、
上司である自分の責任として
背負う必要はありません。
ただ、
「自分の説明方法に改善点はなかったか?」
ここは、自分の問題として扱えます。
それぞれが、
自分の範囲内の責任を「自分で引き受ける」
これが、心が成長していく
自責なのではないでしょうか。
他責の罠
いくらでも外に置ける「要因」
そして、注意したいことがあります。
人生で起きた出来事って、いくらでも外的要因にすることができてしまうんです。
だから、何かのせいにしたくなる。
まあ、実際に外的要因なこともあるんですけどね。
- 親が悪かった
- 学校が悪かった
- 会社が悪かった
- 上司が悪かった
- 恋人が悪かった
- 時代が悪かった
- 制度が悪かった
- 運が悪かった
本当に、それが原因なこともある。
しかし、「自分の人生の結果を、他人の責任問題として扱い続けること」は違います。
原因を探すこと、
責任を引き受けること、
これは同じではない。
そう気づいたねぐち。
他責が奪ってしまうもの
もし明日香が、仕事のミスを「上司のせいだった」と処理したら、明日香の内側には「安心」が生まれます。
しかし、その瞬間、
自分の伸びしろを消してしまう。
成長のきっかけを潰すことになる。
一方、七海は考えます
「私にできることは何だった?」と。
彼女は、仕事のミスから
「成長の軌道」を得る。
- 現在地を見る
- 自分の問題として引き受ける
- 内省する(どうしよう、どうしたらいいかな)
- 一つ修正する
- 経験になる
こんな良い循環が起きやすい七海。
5年間を過ごすと、
多くの修正と経験を積んでいることでしょう。
明日香が5年間変わらなかったワケ
第二話では、明日香が5年間成長できなかった原因として「現在地を正しく見ることができない」からだと話しました。
しかし、それだけではなさそうです。
起きた結果を、
自分が扱う問題として
引き受けられなかった
これも、要因の一つ。
まだ他にも、隠れた要因があるのかもしれません。
通知表をつけた「評価担当者」の正体
冒頭で話した、
会社のどこかにいると噂の
「評価担当者たち」
どうやら、
その正体が判明したようです。
そういえば少し前、
社内でこんな調査がありました。
数ヶ月前に実施された「社内調査」
- 一緒に仕事をしていて、信頼できる人は?
- 話を素直に聞いてくれる人は?
- 困った時に、相談しやすい人は?
- 最近成長したなと感じる人は?
誰も、通知表をつけているつもりなんてありませんでした。
明日香も。
七海も。
上司も。
ただ、聞かれた通りに
「この人が、そうかな」
と答えただけ。
その社内調査の結果が、
通知表だったようです。
ナビゲーターねぐちの発見

つまりーーー
自分も誰かの通知表を
つけていた。
もちろん、自分も
誰かにつけられていた。
誰かが悪意を持って
採点した結果ではない。
贔屓してるわけでもない。
ただ、
毎日の小さな振る舞いを
皆がそれぞれの尺度で見てる。
世の中は、こんなふうに出来ている
世の中は、
案外そんなふうにできてるのかもしれません。
もし、誰か一人の意図ではなく
日々の自分の振る舞いの積み重ねが
その通知表を作っているとしたら。
あなたは、その結果を
自分の問題として引き受けることができそうですか?