BSシネマ 作品考察

「告白」厨二病ってバイオレンス

湊かなえ作、映画「告白」を観たねぐち。


「やっぱり...面白い...」


そして、怖い。
中学生が一番怖いかも。


厨二病って本当に恐ろしいのかもなって感じた作品でした。


まだ子どもなのに、
どうしてここまでのことが
できてしまうんだろう?


そう感じずにはいられなかった僕。
そんなねぐちの作品考察、スタートです!

【作品紹介】映画『告白』

  • 作品情報:2010年制作/106分/R15+/日本
  • 原作:湊かなえ「告白」(2009年本屋大賞受賞作品)
  • 劇場公開日:2010年6月5日

キャスト

  • 松たか子(森口悠子)
  • 木村佳乃(下村優子)
  • 岡田将生(寺田良輝)
  • 芦田愛菜(森口愛美)...

あらすじ

とある中学校の1年B組の担任を務める女性教師:森口(松たか子)は、愛娘を学校のプールで殺害されてしまいます。警察は事故死と判定しますが、森口は学年末の終業式の日に、犯人はこのクラスの中にいると生徒たちに告げるのでした...


法で裁かれることのない中学生を、森口なりに追い詰めながら復讐していく様子が描かれています。

しかし、僕にはこの作品が
「娘を殺された教師による復讐劇」には
見えませんでした。

未完成だからこそ怖い「中学生」

すでに作られている、人格

この作品を観ていると、厨二病という言葉を思い出さずにはいられなかった僕。



厨二病なんてあったなー。
自分もそんな時期あったのかな?


ふと、考えていた”ねぐち”。


よく考えると、
厨二病ってなんなんでしょうね。


思春期特有の、"自我が芽生え「自分が何者か」を強く意識し始める"あの時期のこと。


しかし、やはりまだ中学生。


自分自身を十分に扱えるほど成熟はしていないということが、この作品を見ているとよく分かります。



ときに、大人も驚くほどの狂気的な事件を引き起こすのです。

中学生は、大人でも子どもでもない

中学生と聞くと、
もう幼い子どもではないけど、
まだ大人でもない。


13~15歳という年齢ですが、
すでに「明らかに家庭環境の影響」を受けています。



親との関係、
周囲からかけられてきた言葉
愛情の与えられ方...


この作品を見ていると、すでに"その子の特徴”として現れています。

家庭環境 × 本人の気質


人格は、いくつかの要素の掛け算によって形成されていくようです。


だから、同じ家庭環境で育った兄弟でも人格は異なる。



問題行動のある子は、
家庭環境だけの問題でもなく、
本人の気質だけの問題でもない。


原因は、複数あるのが基本。

めくるめく承認欲求

認められたいは、皆同じ?

人間には承認欲求があります。


昨今では、SNSにてよく使われる言葉ですが、実際にはもっと日常的に潜んでいるもの。


この作品を見ていると、「その子の承認欲求(=どう認められたいか)」がまるで違うことが見えてきます。

誰に、何を、どう認められたいか。
皆、まるで違う

だから、一人として同じ形の承認欲求をしていない。
みんな少しずつ違うんです。

「母と子」が作る、承認欲求の形

いろんな母がいます。
そして、いろんな子がいます。

  • 母から何を与えられたか
  • 何を与えられなかったか
  • 何を求められたいか
  • 何を求めたくなるのか

これらの違いが、「どう認められたいか?」を形づくる上で影響してるようです。


「あぁ、これがほしいんだね」と
感じる、その子らしさがある。

【余談】湊かなえ作品に何度も登場する「母と子」

ここで、少し話が変わります。
僕は湊かなえ先生の作品が大好き!


以前にも、他作品の考察を書いています。

→皆が『N』のために嘘をつく|それぞれの正義が織りなすミステリー
被害者は加害者になり、罪を犯すこともある|【落日・湊かなえ作品】




母と子/親と子/守ること/愛されること


そんなテーマが何度も登場します。
ただ温かいだけじゃない。


愛情と狂気は、かなり近い場所にあることを痛感させてもらえるんです。


目を背けたくなるほどの生々しい母子関係を
克明に描いてるところが、
怖くて美しいんですよね。

繰り返される加害と被害

映画のワンシーンだけを切り取って見ると、「この子は被害者」
また別のワンシーンを切り取ると「この子は加害者」


誰が、どこから、いつ、
どんな時に見るかによって、


その人への印象が大きく変わることが、うまく表現されています。


これは、普段の生活でも同じ。


人を、一つの場面だけで判断することの恐ろしさを実感します。

自分を守るために、人は何をするのか

それぞれが、
自我を守るために、
殺さないために、
必死で生きているんです。



認めてもらうためなら、
誰かへの攻撃すら厭わない。



自分を正当化して、
誰かに執着して。


復讐する人もいれば、
逃げる人だっている。


それぞれ方法は異なるけど、
その人の自我を必死に守ろうとしてる。



その結果、
最悪の場合「事件になる」
被害者が生まれ、
加害者になる人がいる。


その日の被害者は、
後に「加害者へ」なってしまうことも...

放送できるのかと思うぐらいの「バイオレンス」

この作品は、とにかく過激で、センセーショナル。


暴力、いじめ、殺人、復讐


今観ても、かなり強烈でした。


今の地上波だったら、どう扱われるんだろう。
そんな疑問さえ浮かびます。



しかし、それがリアルさを増す。
人間の生々しい心理を描き出そうとしたら、けっこう的確なのかも。


人間の気持ちって、案外「バイオレンス」なとこあるんですよ。

  • 消えてほしい
  • 許せない
  • 仕返ししたい
  • 見返したい
  • 自分だけを見てほしい


こんな激しい感情は、
人間の中に普通に存在してるから。


だから、作品の表現の過激さに驚きながらも、心理としてみると妙に遠くは感じません。

皆、どこか少し狂っている

誰の中にも、
他人には見せることのない
激しい感情や矛盾があるように思います。


それを実行するか、
自分の中で制御するか
別の形に変えるのか。


そこに大きな違いが生まれる。


全員、どこか少し狂った、
イカれた、感覚がある。


隠してるだけでね。

【まとめ】『告白』から感じた、人格形成の早さ

中学生は未完成ではあるけど、
無垢な状態でもないようです。


家庭環境をすでに背負っている。


親子関係の影響も大きい。


それだけじゃなく、
本人の気質も大いに関係する。


承認欲求もしっかりと育っていて、
自我だって芽生えている。


でも、まだまだ柔軟性に富んでいて、
変化していく伸びしろは大きい。

中学生は未完成だからこそ怖い。
でも、すでに何もない状態ではない。
そして、驚くほどの可能性を秘めている。



そんなことを思ったねぐちでした。

  • この記事を書いた人

ねぐち

ついつい人の悩みや選択の背景にある「構造」を考えてしまう鳥です。 感情と論理、どちらも踏まえた上で、納得できる理解を大切にしています。 「理解すること」が人生を楽にしていく流れを、ここで記録中。

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